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Jobs
Jobは一つ以上のPodを作成し、指定された数のPodが正常に終了するまで、Podの実行を再試行し続けます。Podが正常に終了すると、Jobは成功したPodの数を追跡します。指定された完了数に達すると、そのタスク(つまりJob)は完了したとみなされます。Jobを削除すると、作成されたPodも一緒に削除されます。Jobを一時停止すると、再開されるまで、稼働しているPodは全部削除されます。
単純なケースを言うと、確実に一つのPodが正常に完了するまで実行されるよう、一つのJobオブジェクトを作成します。 一つ目のPodに障害が発生したり、(例えばノードのハードウェア障害またノードの再起動が原因で)削除されたりすると、Jobオブジェクトは新しいPodを作成します。
Jobで複数のPodを並列で実行することもできます。
スケジュールに沿ってJob(単一のタスクか複数タスク並列のいずれか)を実行したい場合は CronJobを参照してください。
実行例
下記にJobの定義例を記載しています。πを2000桁まで計算して出力するJobで、完了するまで約10秒かかります。
apiVersion: batch/v1
kind: Job
metadata:
name: pi
spec:
template:
spec:
containers:
- name: pi
image: perl:5.34.0
command: ["perl", "-Mbignum=bpi", "-wle", "print bpi(2000)"]
restartPolicy: Never
backoffLimit: 4
このコマンドで実行できます:
kubectl apply -f https://kubernetes.io/examples/controllers/job.yaml
実行結果はこのようになります:
job.batch/pi created
kubectl
でJobの状態を確認できます:
Name: pi
Namespace: default
Selector: batch.kubernetes.io/controller-uid=c9948307-e56d-4b5d-8302-ae2d7b7da67c
Labels: batch.kubernetes.io/controller-uid=c9948307-e56d-4b5d-8302-ae2d7b7da67c
batch.kubernetes.io/job-name=pi
...
Annotations: batch.kubernetes.io/job-tracking: ""
Parallelism: 1
Completions: 1
Start Time: Mon, 02 Dec 2019 15:20:11 +0200
Completed At: Mon, 02 Dec 2019 15:21:16 +0200
Duration: 65s
Pods Statuses: 0 Running / 1 Succeeded / 0 Failed
Pod Template:
Labels: batch.kubernetes.io/controller-uid=c9948307-e56d-4b5d-8302-ae2d7b7da67c
batch.kubernetes.io/job-name=pi
Containers:
pi:
Image: perl:5.34.0
Port: <none>
Host Port: <none>
Command:
perl
-Mbignum=bpi
-wle
print bpi(2000)
Environment: <none>
Mounts: <none>
Volumes: <none>
Events:
Type Reason Age From Message
---- ------ ---- ---- -------
Normal SuccessfulCreate 21s job-controller Created pod: pi-xf9p4
Normal Completed 18s job-controller Job completed
apiVersion: batch/v1
kind: Job
metadata:
annotations: batch.kubernetes.io/job-tracking: ""
...
creationTimestamp: "2022-11-10T17:53:53Z"
generation: 1
labels:
batch.kubernetes.io/controller-uid: 863452e6-270d-420e-9b94-53a54146c223
batch.kubernetes.io/job-name: pi
name: pi
namespace: default
resourceVersion: "4751"
uid: 204fb678-040b-497f-9266-35ffa8716d14
spec:
backoffLimit: 4
completionMode: NonIndexed
completions: 1
parallelism: 1
selector:
matchLabels:
batch.kubernetes.io/controller-uid: 863452e6-270d-420e-9b94-53a54146c223
suspend: false
template:
metadata:
creationTimestamp: null
labels:
batch.kubernetes.io/controller-uid: 863452e6-270d-420e-9b94-53a54146c223
batch.kubernetes.io/job-name: pi
spec:
containers:
- command:
- perl
- -Mbignum=bpi
- -wle
- print bpi(2000)
image: perl:5.34.0
imagePullPolicy: IfNotPresent
name: pi
resources: {}
terminationMessagePath: /dev/termination-log
terminationMessagePolicy: File
dnsPolicy: ClusterFirst
restartPolicy: Never
schedulerName: default-scheduler
securityContext: {}
terminationGracePeriodSeconds: 30
status:
active: 1
ready: 0
startTime: "2022-11-10T17:53:57Z"
uncountedTerminatedPods: {}
Jobの完了したPodを確認するには、kubectl get pods
を使います。
Jobに属するPodの一覧を機械可読形式で出力するには、下記のコマンドを使います:
pods=$(kubectl get pods --selector=batch.kubernetes.io/job-name=pi --output=jsonpath='{.items[*].metadata.name}')
echo $pods
出力結果はこのようになります:
pi-5rwd7
ここのセレクターはJobのセレクターと同じです。--output=jsonpath
オプションは、返されたリストからPodのnameフィールドを指定するための表現です。
その中の一つのPodの標準出力を確認するには:
kubectl logs $pods
Jobの標準出力を確認するもう一つの方法は:
kubectl logs jobs/pi
出力結果はこのようになります:
3.1415926535897932384626433832795028841971693993751058209749445923078164062862089986280348253421170679821480865132823066470938446095505822317253594081284811174502841027019385211055596446229489549303819644288109756659334461284756482337867831652712019091456485669234603486104543266482133936072602491412737245870066063155881748815209209628292540917153643678925903600113305305488204665213841469519415116094330572703657595919530921861173819326117931051185480744623799627495673518857527248912279381830119491298336733624406566430860213949463952247371907021798609437027705392171762931767523846748184676694051320005681271452635608277857713427577896091736371787214684409012249534301465495853710507922796892589235420199561121290219608640344181598136297747713099605187072113499999983729780499510597317328160963185950244594553469083026425223082533446850352619311881710100031378387528865875332083814206171776691473035982534904287554687311595628638823537875937519577818577805321712268066130019278766111959092164201989380952572010654858632788659361533818279682303019520353018529689957736225994138912497217752834791315155748572424541506959508295331168617278558890750983817546374649393192550604009277016711390098488240128583616035637076601047101819429555961989467678374494482553797747268471040475346462080466842590694912933136770289891521047521620569660240580381501935112533824300355876402474964732639141992726042699227967823547816360093417216412199245863150302861829745557067498385054945885869269956909272107975093029553211653449872027559602364806654991198818347977535663698074265425278625518184175746728909777727938000816470600161452491921732172147723501414419735685481613611573525521334757418494684385233239073941433345477624168625189835694855620992192221842725502542568876717904946016534668049886272327917860857843838279679766814541009538837863609506800642251252051173929848960841284886269456042419652850222106611863067442786220391949450471237137869609563643719172874677646575739624138908658326459958133904780275901
Job spec(仕様)の書き方
他のKubernetesオブジェクト設定ファイルと同様に、JobにもapiVersion
、kind
またはmetadata
フィールドが必要です。
コントロールプレーンがJobのために新しいPodを作成するとき、Jobの.metadata.name
はそれらのPodに名前をつけるための基礎の一部になります。Jobの名前は有効なDNSサブドメイン名である必要がありますが、これはPodのホスト名に予期しない結果をもたらす可能性があります。最高の互換性を得るためには、名前はDNSラベルのより限定的な規則に従うべきです。名前がDNSサブドメインの場合でも、名前は63文字以下でなければなりません。
Jobには.spec
セクションも必要です。
Jobラベル
Jobラベルのjob-name
とcontroller-uid
の接頭辞はbatch.kubernetes.io/
となります。
Podテンプレート
.spec.template
は.spec
の唯一の必須フィールドです。
.spec.template
はpodテンプレートです。ネストされていることとapiVersion
やkind
フィールドが不要になったことを除いて、仕様の定義がPodと全く同じです。
Podの必須フィールドに加えて、Job定義ファイルにあるPodテンプレートでは、適切なラベル(podセレクターを参照)と適切な再起動ポリシーを指定する必要があります。
RestartPolicy
はNever
かOnFailure
のみ設定可能です。
Podセレクター
.spec.selector
フィールドはオプションです。ほとんどの場合はむしろ指定しないほうがよいです。
独自のPodセレクターを指定セクションを参照してください。
Jobの並列実行
Jobで実行するのに適したタスクは主に3種類あります:
- 非並列Job
- 通常、Podに障害が発生しない限り、一つのPodのみが起動されます。
- Podが正常に終了すると、Jobはすぐに完了します。
- 固定の完了数を持つ並列Job:
.spec.completions
に0以外の正の値を指定します。- Jobは全体的なタスクを表し、
.spec.completions
個のPodが成功すると、Jobの完了となります。 .spec.completionMode="Indexed"
を利用する場合、各Podは0から.spec.completions-1
までの範囲内のインデックスがアサインされます。
- ワークキューを利用した並列Job:
.spec.completions
の指定をしない場合、デフォルトは.spec.parallelism
となります。- Pod間で調整する、または外部サービスを使う方法で、それぞれ何のタスクに着手するかを決めます。例えば、一つのPodはワークキューから最大N個のタスクを一括で取得できます。
- 各Podは他のPodがすべて終了したかどうか、つまりJobが完了したかどうかを単独で判断できます。
- Jobに属する 任意 のPodが正常に終了すると、新しいPodは作成されません。
- 一つ以上のPodが正常に終了し、すべてのPodが終了すると、Jobは正常に完了します。
- 一つのPodが正常に終了すると、他のPodは同じタスクの作業を行ったり、出力を書き込んだりすることはできません。すべてのPodが終了プロセスに進む必要があります。
非並列 Jobの場合、.spec.completions
と.spec.parallelism
の両方を未設定のままにしておくことも可能です。未設定の場合、両方がデフォルトで1になります。
完了数固定 Jobの場合、.spec.completions
を必要完了数に設定する必要があります。
.spec.parallelism
を設定してもいいですし、未設定の場合、デフォルトで1になります。
ワークキュー 並列Jobの場合、.spec.completions
を未設定のままにし、.spec.parallelism
を非負の整数に設定する必要があります。
各種類のJobの使用方法の詳細については、Jobパターンセクションを参照してください。
並列処理の制御
必要並列数(.spec.parallelism
)は任意の非負の値に設定できます。
未設定の場合は、デフォルトで1になります。
0に設定した際には、増加するまでJobは一時停止されます。
実際の並列数(任意の瞬間に実行されているPod数)は、さまざまな理由により、必要並列数と異なる可能性があります:
- 完了数固定 Jobの場合、実際に並列して実行されるPodの数は、残りの完了数を超えることはありません。
.spec.parallelism
の値が高い場合は無視されます。 - ワークキュー Jobの場合、任意のPodが成功すると、新しいPodは作成されません。ただし、残りのPodは終了まで実行し続けられます。
- Jobコントローラーの応答する時間がなかった場合。
- Jobコントローラーが何らかの理由で(
ResourceQuota
の不足、権限の不足など)、Podを作成できない場合、 実際の並列数は必要並列数より少なくなる可能性があります。 - 同じJobで過去に発生した過度のPod障害が原因で、Jobコントローラーは新しいPodの作成を抑制することがあります。
- Podがグレースフルシャットダウンされた場合、停止するのに時間がかかります。
完了モード
Kubernetes v1.24 [stable]
完了数固定 Job、つまり.spec.completions
の値がnullではないJobは.spec.completionMode
で完了モードを指定できます:
NonIndexed
(デフォルト):.spec.completions
個のPodが成功した場合、Jobの完了となります。言い換えれば、各Podの完了状態は同質です。ここで要注意なのは、.spec.completions
の値がnullの場合、暗黙的にNonIndexed
として指定されることです。Indexed
: Jobに属するPodはそれぞれ、0から.spec.completions-1
の範囲内の完了インデックスを取得できます。インデックスは下記の三つの方法で取得できます。- Podアノテーション
batch.kubernetes.io/job-completion-index
。 - Podホスト名の一部として、
$(job-name)-$(index)
の形式になっています。 インデックス付きJob(Indexed Job)とServiceを一緒に使用すると、Jobに属するPodはお互いにDNSを介して確定的ホスト名で通信できます。この設定方法の詳細はPod間通信を使用したJobを参照してください。 - コンテナ化されたタスクの環境変数
JOB_COMPLETION_INDEX
。
各インデックスに1つずつ正常に完了したPodがあると、Jobは完了したとみなされます。このモードの使い方については、静的な処理の割り当てを使用した並列処理のためのインデックス付きJobを参照してください。
- Podアノテーション
Podとコンテナの障害対策
Pod内のコンテナは、その中のプロセスが0以外の終了コードで終了した、またはメモリ制限を超えたためにコンテナが強制終了されたなど、様々な理由で失敗することがあります。この場合、もし.spec.template.spec.restartPolicy = "OnFailure"
と設定すると、Podはノード上に残りますが、コンテナは再実行されます。そのため、プログラムがローカルで再起動した場合の処理を行うか、.spec.template.spec.restartPolicy = "Never"
と指定する必要があります。
restartPolicy
の詳細についてはPodのライフサイクルを参照してください。
Podがノードからキックされた(ノードがアップグレード、再起動、削除されたなど)、または.spec.template.spec.restartPolicy = "Never"
と設定されたときにPodに属するコンテナが失敗したなど、様々な理由でPod全体が故障することもあります。Podに障害が発生すると、Jobコントローラーは新しいPodを起動します。つまりアプリケーションは新しいPodで再起動された場合の処理を行う必要があります。特に、過去に実行した際に生じた一時ファイル、ロック、不完全な出力などを処理する必要があります。
デフォルトでは、それぞれのPodの失敗は.spec.backoffLimit
にカウントされます。詳しくはPod失敗のバックオフポリシーをご覧ください。しかし、JobのPod失敗ポリシーを設定することで、Pod失敗の処理をカスタマイズすることができます。
.spec.parallelism = 1
、.spec.completions = 1
と.spec.template.spec.restartPolicy = "Never"
を指定しても、同じプログラムが2回起動されることもありますので注意してください。
.spec.parallelism
と.spec.completions
を両方とも2以上指定した場合、複数のPodが同時に実行される可能性があります。そのため、Podは並行処理を行えるようにする必要があります。
フィーチャーゲートのPodDisruptionConditions
とJobPodFailurePolicy
の両方が有効で、.spec.podFailurePolicy
フィールドが設定されている場合、Jobコントローラーは終了するPod(.metadata.deletionTimestamp
フィールドが設定されているPod)を、そのPodが終了する(.status.phase
がFailed
またはSucceeded
になる)までは失敗とはみなしません。ただし、Jobコントローラーは、終了が明らかになるとすみやかに代わりのPodを作成します。Podが終了すると、Jobコントローラーはこの終了したPodを考慮に入れて、該当のJobの.backoffLimit
と.podFailurePolicy
を評価します。
これらの要件のいずれかが満たされていない場合、Jobコントローラーは、そのPodが後にphase: "Succeeded"
で終了する場合でも、終了するPodを即時に失敗として数えます。
Pod失敗のバックオフポリシー
設定の論理エラーなどにより、Jobが数回再試行した後に失敗状態にしたい場合があります。.spec.backoffLimit
を設定すると、失敗したと判断するまでの再試行回数を指定できます。バックオフ制限はデフォルトで6に設定されています。Jobに属していて失敗したPodはJobコントローラーにより再作成され、バックオフ遅延は指数関数的に増加し(10秒、20秒、40秒…)、最大6分まで増加します。
再実行回数の算出方法は以下の2通りです:
.status.phase = "Failed"
で設定されたPod数を計算します。restartPolicy = "OnFailure"
と設定された場合、.status.phase
がPending
またはRunning
であるPodに属するすべてのコンテナで再試行する回数を計算します。
どちらかの計算が.spec.backoffLimit
に達した場合、Jobは失敗とみなされます。
JobTrackingWithFinalizers
機能が無効な場合、
失敗したPodの数は、API内にまだ存在するPodのみに基づいています。
restartPolicy = "OnFailure"
が設定されたJobはバックオフ制限に達すると、属するPodは全部終了されるので注意してください。これにより、Jobの実行ファイルのデバッグ作業が難しくなる可能性があります。失敗したJobからの出力が不用意に失われないように、Jobのデバッグ作業をする際はrestartPolicy = "Never"
を設定するか、ロギングシステムを使用することをお勧めします。Pod失敗ポリシー
Kubernetes v1.26 [beta]
JobPodFailurePolicy
フィーチャーゲートが有効になっている場合のみ、Jobに対してPod失敗ポリシーを設定することができます。さらにPod失敗ポリシーでPodの中断条件を検知して処理できるように、PodDisruptionConditions
フィーチャーゲートを有効にすることが推奨されます。(Podの中断条件を参照してください)。どちらのフィーチャーゲートもKubernetes 1.27で利用可能です。.spec.podFailurePolicy
フィールドで定義されるPod失敗ポリシーを使用すると、コンテナの終了コードとPodの条件に基づいてクラスターがPodの失敗を処理できるようになります。
状況によっては、Podの失敗を処理するときに、Jobの.spec.backoffLimit
に基づいたPod失敗のバックオフポリシーが提供する制御よりも、Podの失敗処理に対してより良い制御を求めるかもしれません。これらはいくつかの使用例です:
- 不要なPodの再起動を回避してワークロードの実行コストを最適化するために、Podの1つがソフトウェアバグを示す終了コードで失敗するとすぐにJobを終了させることができます。
- 中断が発生してもJobが完了するように、中断によって発生したPodの失敗(preemption、APIを起点とした退避、taintを起点とした立ち退き)を無視し、
.spec.backoffLimit
のリトライ回数にカウントしないようにすることができます。
上記のユースケースを満たすために、.spec.podFailurePolicy
フィールドでPod失敗ポリシーを設定できます。このポリシーは、コンテナの終了コードとPodの条件に基づいてPodの失敗を処理できます。
以下は、podFailurePolicy
を定義するJobのマニフェストです:
apiVersion: batch/v1
kind: Job
metadata:
name: job-pod-failure-policy-example
spec:
completions: 12
parallelism: 3
template:
spec:
restartPolicy: Never
containers:
- name: main
image: docker.io/library/bash:5
command: ["bash"] # example command simulating a bug which triggers the FailJob action
args:
- -c
- echo "Hello world!" && sleep 5 && exit 42
backoffLimit: 6
podFailurePolicy:
rules:
- action: FailJob
onExitCodes:
containerName: main # optional
operator: In # one of: In, NotIn
values: [42]
- action: Ignore # one of: Ignore, FailJob, Count
onPodConditions:
- type: DisruptionTarget # indicates Pod disruption
上記の例では、Pod失敗ポリシーの最初のルールは、main
コンテナが42の終了コードで失敗した場合、そのJobを失敗とマークすることを指定しています。以下は特に main
コンテナに関するルールです:
- 終了コード0はコンテナが成功したことを意味します。
- 終了コード42はJob全体が失敗したことを意味します。
- それ以外の終了コードは、コンテナが失敗したこと、つまりPod全体が失敗したことを示します。再起動の合計回数が
backoffLimit
未満であれば、Podは再作成されます。backoffLimit
に達した場合、Job全体が失敗したことになります。
restartPolicy.Never
を指定しているため、kubeletはその特定のPodのmain
コンテナを再起動しません。Pod失敗ポリシーの2つ目のルールでは、DisruptionTarget
という条件で失敗したPodに対してIgnoreアクションを指定することで、Podの中断が.spec.backoffLimit
によるリトライの制限にカウントされないようにします。
これらはAPIの要件と機能です:
.spec.podFailurePolicy
フィールドをJobに使いたい場合は、.spec.restartPolicy
をNever
に設定してそのJobのPodテンプレートも定義する必要があります。spec.podFailurePolicy.rules
で指定したPod失敗ポリシーのルールが順番に評価されます。あるPodの失敗がルールに一致すると、残りのルールは無視されます。Pod失敗に一致するルールがない場合は、デフォルトの処理が適用されます。spec.podFailurePolicy.rules[*].containerName
を指定することで、ルールを特定のコンテナに制限することができます。指定しない場合、ルールはすべてのコンテナに適用されます。指定する場合は、Pod テンプレート内のコンテナ名またはinitContainer
名のいずれかに一致する必要があります。- Pod失敗ポリシーが
spec.podFailurePolicy.rules[*].action
にマッチしたときに実行されるアクションを指定できます。指定可能な値は以下のとおりです。FailJob
: PodのJobをFailed
としてマークし、実行中の Pod をすべて終了させる必要があることを示します。Ignore
:.spec.backoffLimit
のカウンターは加算されず、代替のPodが作成すべきであることを示します。Count
: Podがデフォルトの方法で処理されるべきであることを示します。.spec.backoffLimit
のカウンターが加算されます。
PodFailurePolicy
を使用すると、JobコントローラはFailed
フェーズのPodのみにマッチします。削除タイムスタンプを持つPodで、終了フェーズ(Failed
またはSucceeded
)にないものは、まだ終了中と見なされます。これは、終了中Podは終了フェーズに達するまで追跡ファイナライザーを保持することを意味します。Kubernetes 1.27以降、Kubeletは削除されたPodを終了フェーズに遷移させます(参照:Podのフェーズ)。これにより、削除されたPodはJobコントローラーによってファイナライザーが削除されます。Jobの終了とクリーンアップ
Jobが完了すると、それ以上Podは作成されませんが、通常Podが削除されることもありません。
これらを残しておくと、完了したPodのログを確認でき、エラーや警告などの診断出力を確認できます。
またJobオブジェクトはJob完了後も残っているため、状態を確認することができます。古いJobの状態を把握した上で、削除するかどうかはユーザー次第です。Jobを削除するにはkubectl
(例:kubectl delete jobs/pi
またはkubectl delete -f ./job.yaml
)を使います。kubectl
でJobを削除する場合、Jobが作成したPodも全部削除されます。
デフォルトでは、Podが失敗しない(restartPolicy=Never
)またはコンテナがエラーで終了しない(restartPolicy=OnFailure
)限り、Jobは中断されることなく実行されます。.spec.backoffLimit
に達するとそのJobは失敗と見なされ、実行中のPodはすべて終了します。
Jobを終了させるもう一つの方法は、活動期間を設定することです。
Jobの.spec.activeDeadlineSeconds
フィールドに秒数を設定することで、活動期間を設定できます。
Podがいくつ作成されても、activeDeadlineSeconds
はJobの存続する時間に適用されます。
JobがactiveDeadlineSeconds
に達すると、実行中のすべてのPodは終了され、Jobの状態はtype: Failed
になり、理由はreason: DeadlineExceeded
になります。
ここで要注意なのは、Jobの.spec.activeDeadlineSeconds
は.spec.backoffLimit
よりも優先されます。したがって、失敗して再試行しているPodが一つ以上持っているJobは、backoffLimit
に達していなくても、activeDeadlineSeconds
で指定された設定時間に達すると、追加のPodをデプロイしなくなります。
例えば:
apiVersion: batch/v1
kind: Job
metadata:
name: pi-with-timeout
spec:
backoffLimit: 5
activeDeadlineSeconds: 100
template:
spec:
containers:
- name: pi
image: perl:5.34.0
command: ["perl", "-Mbignum=bpi", "-wle", "print bpi(2000)"]
restartPolicy: Never
Job仕様と、Jobに属するPodテンプレートの仕様は両方ともactiveDeadlineSeconds
フィールドを持っているので注意してください。適切なレベルで設定していることを確認してください。
またrestartPolicy
はJob自体ではなく、Podに適用されることも注意してください: Jobの状態はtype: Failed
になると、自動的に再起動されることはありません。
つまり、.spec.activeDeadlineSeconds
と.spec.backoffLimit
によって引き起こされるJob終了メカニズムは、永久的なJob失敗につながり、手動で介入して解決する必要があります。
終了したJobの自動クリーンアップ
終了したJobは通常システムに残す必要はありません。残ったままにしておくとAPIサーバーに負担をかけることになります。Jobが上位コントローラーにより直接管理されている場合、例えばCronJobsの場合、Jobは指定された容量ベースのクリーンアップポリシーに基づき、CronJobによりクリーンアップされます。
終了したJobのTTLメカニズム
Kubernetes v1.23 [stable]
終了したJob(状態がComplete
かFailed
になったJob)を自動的にクリーンアップするもう一つの方法は
TTLコントローラーより提供されたTTLメカニズムです。.spec.ttlSecondsAfterFinished
フィールドを指定することで、終了したリソースをクリーンアップすることができます。
TTLコントローラーでJobをクリーンアップする場合、Jobはカスケード的に削除されます。つまりJobを削除する際に、Jobに属しているオブジェクト、例えばPodなども一緒に削除されます。Jobが削除される場合、Finalizerなどの、Jobのライフサイクル保証は守られることに注意してください。
例えば:
apiVersion: batch/v1
kind: Job
metadata:
name: pi-with-ttl
spec:
ttlSecondsAfterFinished: 100
template:
spec:
containers:
- name: pi
image: perl:5.34.0
command: ["perl", "-Mbignum=bpi", "-wle", "print bpi(2000)"]
restartPolicy: Never
Job pi-with-ttl
は終了してからの100
秒後に自動的に削除されるようになっています。
このフィールドに0
を設定すると、Jobは終了後すぐに自動削除の対象になります。このフィールドに何も設定しないと、Jobが終了してもTTLコントローラーによるクリーンアップはされません。
ttlSecondsAfterFinished
フィールドを設定することが推奨されます。管理されていないJob(CronJobなどの、他のワークロードAPIを経由せずに、直接作成したJob)はorphanDependents
というデフォルトの削除ポリシーがあるため、Jobが完全に削除されても、属しているPodが残ってしまうからです。
コントロールプレーンは最終的に、失敗または完了して削除されたJobに属するPodをガベージコレクションしますが、Podが残っていると、クラスターのパフォーマンスが低下することがあり、最悪の場合、この低下によりクラスターがオフラインになることがあります。
LimitRangesとリソースクォータで、指定する名前空間が消費できるリソースの量に上限を設定することができます。
Jobパターン
Jobオブジェクトは、Podの確実な並列実行をサポートするために使用されます。科学技術計算でよく見られるような、密接に通信を行う並列処理をサポートするようには設計されていません。独立だが関連性のある一連の作業項目の並列処理をサポートします。例えば送信すべき電子メール、レンダリングすべきフレーム、トランスコードすべきファイル、スキャンすべきNoSQLデータベースのキーの範囲、などです。
複雑なシステムでは、異なる作業項目のセットが複数存在する場合があります。ここでは、ユーザーが一斉に管理したい作業項目のセットが一つだけの場合 — つまりバッチJobだけを考えます。
並列計算にはいくつかのパターンがあり、それぞれに長所と短所があります。 トレードオフの関係にあるのは:
- 各作業項目に1つのJobオブジェクト vs. すべての作業項目に1つのJobオブジェクト。
後者は大量の作業項目を処理する場合に適しています。
前者は大量のJobオブジェクトを管理するため、ユーザーとシステムにオーバーヘッドをかけることになります。 - 作成されるPod数が作業項目数と等しい、 vs. 各Podが複数の作業項目を処理する。 前者は通常、既存のコードやコンテナへの変更が少なくて済みます。 後者は上記と同じ理由で、大量の作業項目を処理する場合に適しています。
- ワークキューを利用するアプローチもいくつかあります。それを使うためには、キューサービスを実行し、既存のプログラムやコンテナにワークキューを利用させるための改造を行う必要があります。 他のアプローチは既存のコンテナ型アプリケーションに適用しやすいです。
ここでは、上記のトレードオフをまとめてあり、それぞれ2~4列目に対応しています。 またパターン名のところは、例やより詳しい説明が書いてあるページへのリンクになっています。
パターン | 単一Jobオブジェクト | Podが作業項目より少ない? | アプリを修正せずに使用できる? |
---|---|---|---|
作業項目ごとにPodを持つキュー | ✓ | 時々 | |
Pod数可変のキュー | ✓ | ✓ | |
静的な処理の割り当てを使用したインデックス付きJob | ✓ | ✓ | |
Jobテンプレート拡張 | ✓ | ||
Pod間通信を使用したJob | ✓ | 時々 | 時々 |
.spec.completions
で完了数を指定する場合、Jobコントローラーより作成された各Podは同一のspec
を持ちます。これは、このタスクのすべてのPodが同じコマンドライン、同じイメージ、同じボリューム、そして(ほぼ)同じ環境変数を持つことを意味します。これらのパターンは、Podが異なる作業をするためのさまざまな配置方法になります。
この表は、各パターンで必要な.spec.parallelism
と.spec.completions
の設定を示しています。
ここで、W
は作業項目の数を表しています。
パターン | .spec.completions | .spec.parallelism |
---|---|---|
作業項目ごとにPodを持つキュー | W | 任意 |
Pod数可変のキュー | null | 任意 |
静的な処理の割り当てを使用したインデックス付きJob | W | 任意 |
Jobテンプレート拡張 | 1 | 1であるべき |
Pod間通信を使用したJob | W | W |
高度な使い方
Jobの一時停止
Kubernetes v1.24 [stable]
Jobが作成されると、JobコントローラーはJobの要件を満たすために直ちにPodの作成を開始し、Jobが完了するまで作成し続けます。しかし、Jobの実行を一時的に中断して後で再開したい場合、または一時停止状態のJobを再開し、再開時間は後でカスタムコントローラーに判断させたい場合はあると思います。
Jobを一時停止するには、Jobの.spec.suspend
フィールドをtrueに修正し、後でまた再開したい場合にはfalseに修正すればよいです。
.spec.suspend
をtrueに設定してJobを作成すると、一時停止状態のままで作成されます。
一時停止状態のJobを再開すると、.status.startTime
フィールドの値は現在時刻にリセットされます。これはつまり、Jobが一時停止して再開すると、.spec.activeDeadlineSeconds
タイマーは停止してリセットされることになります。
Jobを中断すると、状態がCompleted
ではない実行中のPodはすべてSIGTERMシグナルを受信して終了されます。Podのグレースフル終了の猶予期間がカウントダウンされ、この期間内に、Podはこのシグナルを処理しなければなりません。場合により、その後のために処理状況を保存したり、変更を元に戻したりする処理が含まれます。この方法で終了したPodはcompletions
数にカウントされません。
下記は一時停止状態のままで作成されたJobの定義例になります:
kubectl get job myjob -o yaml
apiVersion: batch/v1
kind: Job
metadata:
name: myjob
spec:
suspend: true
parallelism: 1
completions: 5
template:
spec:
...
コマンドラインを使ってJobにパッチを当てることで、Jobの一時停止状態を切り替えることもできます。
活動中のJobを一時停止する:
kubectl patch job/myjob --type=strategic --patch '{"spec":{"suspend":true}}'
一時停止中のJobを再開する:
kubectl patch job/myjob --type=strategic --patch '{"spec":{"suspend":false}}'
Jobのstatusセクションで、Jobが停止中なのか、過去に停止したことがあるかを判断できます:
kubectl get jobs/myjob -o yaml
apiVersion: batch/v1
kind: Job
# .metadata and .spec omitted
status:
conditions:
- lastProbeTime: "2021-02-05T13:14:33Z"
lastTransitionTime: "2021-02-05T13:14:33Z"
status: "True"
type: Suspended
startTime: "2021-02-05T13:13:48Z"
Jobのcondition.typeが"Suspended"で、statusが"True"になった場合、Jobは一時停止中になります。lastTransitionTime
フィールドで、どのぐらい中断されたかを判断できます。statusが"False"になった場合、Jobは一時停止状態でしたが、今は実行されていることになります。conditionが書いていない場合、Jobは一度も停止していないことになります。
Jobが一時停止して再開した場合、Eventsも作成されます:
kubectl describe jobs/myjob
Name: myjob
...
Events:
Type Reason Age From Message
---- ------ ---- ---- -------
Normal SuccessfulCreate 12m job-controller Created pod: myjob-hlrpl
Normal SuccessfulDelete 11m job-controller Deleted pod: myjob-hlrpl
Normal Suspended 11m job-controller Job suspended
Normal SuccessfulCreate 3s job-controller Created pod: myjob-jvb44
Normal Resumed 3s job-controller Job resumed
最後の4つのイベント、特に"Suspended"と"Resumed"のイベントは、.spec.suspend
フィールドの値を切り替えた直接の結果です。この2つのイベントの間に、Podは作成されていないことがわかりますが、Jobが再開されるとすぐにPodの作成も再開されました。
可変スケジューリング命令
Kubernetes v1.27 [stable]
ほとんどの場合、並列Jobは、すべてのPodが同じゾーン、またはすべてのGPUモデルxかyのいずれかであるが、両方の混在ではない、などの制約付きで実行することが望ましいです。
suspendフィールドは、これらの機能を実現するための第一歩です。Suspendは、カスタムキューコントローラーがJobをいつ開始すべきかを決定することができます。しかし、Jobの一時停止が解除されると、カスタムキューコントローラーは、Job内のPodの実際の配置場所には影響を与えません。
この機能により、Jobが開始する前にスケジューリング命令を更新でき、カスタムキューコントローラーがPodの配置に影響を与えることができるようになります。同時に実際のPodからNodeへの割り当てをkube-schedulerにオフロードする能力を提供します。これは一時停止されたJobの中で、一度も一時停止解除されたことのないJobに対してのみ許可されます。
JobのPodテンプレートで更新可能なフィールドはnodeAffinity、nodeSelector、tolerations、labelsとannotations、スケジューリングゲートです。
独自のPodセレクターを指定
Jobオブジェクトを作成する際には通常、.spec.selector
を指定しません。Jobが作成された際に、システムのデフォルトロジックは、他のJobと重ならないようなセレクターの値を選択し、このフィールドに追加します。
しかし、場合によっては、この自動設定されたセレクターをオーバーライドする必要があります。そのためには、Jobの.spec.selector
を指定します。
その際には十分な注意が必要です。そのJobの他のPodと重なったラベルセレクターを指定し、無関係のPodにマッチした場合、無関係のJobのPodが削除されたり、無関係のPodが完了されてもこのJobの完了数とカウントしたり、片方または両方のJobがPodの作成または完了までの実行を拒否する可能性があります。
一意でないセレクターを選択した場合、他のコントローラー(例えばReplicationController)や属しているPodが予測できない挙動をする可能性があります。Kubernetesは.spec.selector
を間違って設定しても止めることはしません。
下記はこの機能の使用例を紹介しています。
old
と名付けたJobがすでに実行されていると仮定します。既存のPodをそのまま実行し続けてほしい一方で、作成する残りのPodには別のテンプレートを使用し、そのJobには新しい名前を付けたいとしましょう。これらのフィールドは更新できないため、Jobを直接更新できません。そのため、kubectl delete jobs/old --cascade=orphan
で、属しているPodが実行されたまま、old
Jobを削除します。削除する前に、どのセレクターを使用しているかをメモしておきます:
kubectl get job old -o yaml
出力結果はこのようになります:
kind: Job
metadata:
name: old
...
spec:
selector:
matchLabels:
batch.kubernetes.io/controller-uid: a8f3d00d-c6d2-11e5-9f87-42010af00002
...
次に、new
という名前で新しくJobを作成し、同じセレクターを明示的に指定します。既存のPodもbatch.kubernetes.io/controller-uid=a8f3d00d-c6d2-11e5-9f87-42010af00002
ラベルが付いているので、同じくnew
Jobによってコントロールされます。
通常システムが自動的に生成するセレクターを使用しないため、新しいJobで manualSelector: true
を指定する必要があります。
kind: Job
metadata:
name: new
...
spec:
manualSelector: true
selector:
matchLabels:
batch.kubernetes.io/controller-uid: a8f3d00d-c6d2-11e5-9f87-42010af00002
...
新しいJobはa8f3d00d-c6d2-11e5-9f87-42010af00002
ではなく、別のuidを持つことになります。manualSelector: true
を設定することで、自分は何をしているかを知っていて、またこのミスマッチを許容することをシステムに伝えます。
FinalizerによるJob追跡
Kubernetes v1.26 [stable]
JobTrackingWithFinalizers
機能が無効になっている時に作成されたJobについては、コントロールプレーンを1.26にアップグレードしても、ファイナライザーを使用してJobを追跡しません。コントロールプレーンは任意のJobに属するPodを追跡し、そのPodがAPIサーバーから削除されたかどうか認識します。そのためJobコントローラはファイナライザーbatch.kubernetes.io/job-tracking
を持つPodを作成します。コントローラーがファイナライザーを削除するのは、PodがJobステータスに反映された後なので、他のコントローラーやユーザがPodを削除することができます。
Kubernetes 1.26にアップグレードする前、またはフィーチャーゲートJobTrackingWithFinalizers
が有効になる前に作成されたJobは、Podファイナライザーを使用せずに追跡されます。Jobコントローラーは、クラスタに存在するPodのみに基づいて、succeeded
Podとfailed
Podのステータスカウンタを更新します。クラスタからPodが削除されると、コントロールプレーンはJobの進捗を見失う可能性があります。
Jobがbatch.kubernetes.io/job-tracking
というアノテーションを持っているかどうかをチェックすることで、コントロールプレーンがPodファイナライザーを使ってJobを追跡しているかどうかを判断できます。Jobからこのアノテーションを手動で追加したり削除したりしてはいけません。代わりに、JobがPodファイナライザーを使用して追跡されていることを確認するために、Jobを再作成することができます。
静的なインデックス付きJob
Kubernetes v1.27 [beta]
.spec.parallelism
と.spec.compleitions
の両方を、.spec.parallelism
== .spec.compleitions
となるように変更することで、インデックス付きJobを増減させることができます。APIサーバのElasticIndexedJob
フィーチャーゲートが無効になっている場合、.spec.compleitions
は不変です。
静的なインデックス付きJobの使用例としては、MPI、Horovord、Ray、PyTorchトレーニングジョブなど、インデックス付きJobのスケーリングを必要とするバッチワークロードがあります。
代替案
単なるPod
Podが動作しているノードが再起動または故障した場合、Podは終了し、再起動されません。しかし、終了したPodを置き換えるため、Jobが新しいPodを作成します。このため、たとえアプリケーションが1つのPodしか必要としない場合でも、単なるPodではなくJobを使用することをお勧めします。
Replication Controller
JobはReplication Controllersを補完するものです。 Replication Controllerは、終了することが想定されていないPod(Webサーバーなど)を管理し、Jobは終了することが想定されているPod(バッチタスクなど)を管理します。
Podのライフサイクルで説明したように、Job
はRestartPolicy
がOnFailure
かNever
と設定されているPodにのみ適用されます。(注意:RestartPolicy
が設定されていない場合、デフォルト値はAlways
になります)
シングルJobによるコントローラーPodの起動
もう一つのパターンは、一つのJobが一つPodを作り、そのPodがカスタムコントローラーのような役割を果たし、他のPodを作ります。これは最も柔軟性がありますが、使い始めるにはやや複雑で、Kubernetesとの統合もあまりできません。
このパターンの一例としては、Sparkマスターコントローラーを起動し、sparkドライバーを実行してクリーンアップするスクリプトを実行するPodをJobで起動する(sparkの例を参照)が挙げられます。
この方法のメリットは、全処理過程でJobオブジェクトが完了する保証がありながらも、どのPodを作成し、どのように作業を割り当てるかを完全に制御できることです。
次の項目
- Podsについて学ぶ。
- Jobのさまざまな実行方法について学ぶ:
- ワークキューを用いた粒度の粗い並列処理
- ワークキューを用いた粒度の細かい並列処理
- 静的な処理の割り当てを使用した並列処理のためのインデックス付きJob を使う
- テンプレートを元に複数のJobを作成: 拡張機能を用いた並列処理
- 終了したJobの自動クリーンアップのリンクから、クラスターが完了または失敗したJobをどのようにクリーンアップするかをご確認ください。
Job
はKubernetes REST APIの一部です。JobのAPIを理解するために、 Jobオブジェクトの定義をお読みください。- UNIXツールの
cron
と同様に、スケジュールに基づいて実行される一連のJobを定義するために使用できるCronJob
についてお読みください。 - 段階的な例に基づいて、
PodFailurePolicy
を使用して、回復可能なPod失敗と回復不可能なPod失敗の処理を構成する方法を練習します。